針の違いについて考える
ジグヘッドの開発を始めるにあたって、非常に重要なのが針。
自社オリジナルの針を作ることはなかなか難しいのですが、ようやく製作段階まで辿り着けるようになりました。
焼き入れ前の生針をペンチで持ち思うように曲げていきます。
アイの高さ・シャンクの長さ・ベンドカーブ・ゲイプ幅・針先の角度 見た目が同じ様でもよく見ると若干ベントカーブが微妙に違ったり、針先の角度が1mm違うだけで大きく差が生まれ少しの違いでかなり差が出るの非常に面白いです。
逆に捉えればどんな針でも可能性はある訳です。
まずは思い思いに何十本も曲げていきます。
そのサンプルを焼き入れして実釣テストしていきます。
実釣テスト
思い思いの形に作った針を焼き入れして実釣テストを行います。
この時点では何十本もの針は全て形が違うので、1本1本アジを釣って確認していきます。
皆さん、針の違いを考えられた事はありますか?
実はアタリが出ない、出にくい針も存在します…
まさか!と思われる方もいらっしゃるかと思いますが実際にあります。
それは形状がその理由なのです。
アジは吸い込み異物と認識してから吐き出すまでに0.2秒と言われています。
アジがもがき吐き出す時、口の中にジグヘッドが当たり、それがアタリとして伝わってきます。
つまり、吐き出す時に口の中に当たらない針ならばアタリが出ないのです。
実釣テストをしていくと様々な形状なのでアタリの大きさも違い中には全くわからない針もあります。
掛かり具合やアタリの感覚を確認しながら何十本の中からベストな6本を選別しました。
実釣テスト その2
掛かり具合、アタリの感覚がベストな6本が決まったらこの6種類の針を同じ様に曲げて再度実釣テストを行います。
第一次実釣テストと同じく、アジを釣った感覚、アタリ、掛かり具合を確認していきます。
同じワーム、同じ重さなど同条件で同じ様に釣ってるつもりでも個人差はあるので複数人でテストしました。
やはりベストな6本なのでどれもよく釣れるのですがそれでも差は生まれてきます。
なぜ、この針はイマイチなのか?こちらの針は良く掛かるのか?
仲間で話しながらのテストは非常に面白く今後に役立ちます。
その中から『この針だ!』と決まってから、再度皆で確認しようやく決定しました。
ヘッド形状
ジグヘッドは針も重要ですが実はヘッド形状も非常に大切で釣果を左右する事もあります。
ヘッドは水流を受ける事で、釣り人がジグヘッドの存在感を感じる作用もあります。
水流を多く受ければ存在感も良く分かるのですが反面水流を受けすぎ受け止められなくなってしまうとジグヘッドが安定せず釣れなくなってしまいます。
水流を受け、受け流すヘッド形状が非常に良いと考えています。
形状は出来るだけシンプルな形状にしたい。
ある釣行の道中に釣友と話してる時に良いアイデアが生まれました!
水流は面で受ければ非常に抵抗が生まれます、しかし安定しない…
そこでシンプルな形状である正立方体を45度傾ける事にしました。
そうする事で進行方向に角が生まれ水流を受け流します。
釣り人はジグヘッドよりも高い位置で操作するのでアクションやさびくと上の面で水流を受けて抵抗が生まれ非常に存在感があり分かりやすい!
テンションフォールをすると下の面が水流を受けて抵抗が生まれスローにフォールします。
更にフリーフォールで落とすと下の角が水を切り、重量の差が生まれやすく安定してフォールします。
ガン玉を付けて正立方体になるように金槌で試作を成形(笑)
まずはこれで使用感をテストしました。
もちろん幾つか修正点もありますが非常にいい感じでした!!
仮成形
前回、金槌でガン玉の形を整えた物を簡易金型での仮成形をお願いしていた ジグヘッドが完成しました。
製品名 : サイコロヘッド
※針はまだメッキしていません。
正立方体で作っていましたが金型から抜けないので若干のテーパーを付けました。
小さなグラムは面積が小さくなるので表記が【 . 3 】など、多少変更になるかも知れませんが分かるようにしますのでご安心ください。
極上の黄金比
スタンダードに使えるジグヘッドを思い描き、スタートした開発もようやく完成の時を迎える事が出来ました。
より使い易く
軽いジグヘッドの存在感は特に分かり難く、何をしているのか分からないと言われる方も非常に多かったので、よりアジングを楽しんで頂くにはと色々と考えておりました。
軽いジグヘッドは表層を誘いたい・ゆっくり誘いたい時に軽いジグヘッドを選ぶことが多いです。
その時、軽いジグヘッドに求める物は、操作感と存在感。
『どこで何をしているか』が分かるだけで更に楽しさが増します。
ロッドにも因る部分もありますがジグヘッドでも補えますのでヘッド形状に注目!
そこでヘッド部分前面上部の面で水流を受けジグヘッドの存在感を十分感じる事が出来る様にしました。
これで釣り人の操作感も増し、よりアジングの楽しさを感じて頂けるようになりました。
しかし、水流を受けるだけでは激流域では受け止められなくなるとジグヘッドが暴れだし、釣り人の意図とは違う動きとなり釣れ難くなります。
水流を受けた後は前面の角部分で水流を割き受け流すことで安定したスイミングで誘ってくれます。
また、両サイドには重量の刻印表示があるので一目で重さが分かるのでローテーションも素早く行えます。
よりアクションを生かすヘッド形状
アジは落ちる物に非常に興味を持ちます。
今まで以上に興味を持って食ってもらうには、今までにないフォール、メリハリが付くフォールが必要だと考えました。
風が強い・流れが強いなど環境に対して安定性を求める時
水深が深い場所・活性が高い時など手返し良く釣りたい時
重いジグヘッドを選んで使います。
重いジグヘッドに求めたものは、安定感とメリハリフォール。
風が強いとラインが風に煽られいつも以上に存在感が分かり難くなるので、重さだけでなくヘッド形状からの引き抵抗も大切と考えています。
また流れが強いと水流を受け流すことでジグヘッドが安定しアジもバイトがし易くなります。
アジは落ちる物に非常に興味を示します。活性が高いと尚更、変化(リアクション)に過敏に反応します。変化(リアクション)を明確に演出出来れば更にアジからの反応は向上します。
水深のある場所を探る場合、ラインに表面張力が加わり手前で目視する時よりも沈下スピードは遅くなります。
そこで重量から生まれる沈下スピードに加えて、沈下しやすいヘッド形状の採用で、フリーフォールではヘッド下部の角が水を割き更に素早い沈下スピードを実現しました。
しかし沈下スピードにメリハリを付けるには遅く落とす必要があります。
釣り方をテンションフォールさせることでフリーフォールよりは単純に遅くなります。
そこでテンションフォール時に水流を前面下部の面でしっかり受ける止めるヘッド形状にする事で今までに無く更に遅い沈下スピードでアジに見せる様に出来ました。
更にフリーフォール姿勢にも拘り、下部の角がジグヘッドの回転を止め、今までにない安定したフォール姿勢でアジに警戒心を与えません。
こうして今までにない沈下スピードの緩急を釣り人の操作で明確に演出する事が可能になり、アジに更なる興味・アタリを誘う事が出来るジグヘッドが誕生しました。
オリジナルフック形状
今回スタンダードなジグヘッドを意識してフックを作成しました。
鋼材は細軸0.51mmを採用し刺さりと貫通力の向上を意識しました。
フック形状は今までの経験を活かし生まれた黄金比を詰め込み作成。
アタリを感じ易くフッキング時のパワーロスを無くす絶妙なオープンゲイプ
軽い力で十分に刺さります。
ジグヘッドはヘッド部分・フック部分で役割が違います。
それぞれ私の思い描く理想の形が実現出来ました。
今まで有りそうで無かった、サイコロ形状の機能的なヘッドに因み、『サイコロヘッド』と名付けました。
きっとご満足して頂けると考えております。
宜しくお願い致します。